#22『全部、逆だった。』
──先に、ファンをつくる話

|最初に、売れる仕組みを探すからズレる

「どうやったら売れるか」「話題になるか」
その答えを探し回って、テンプレみたいな言葉で商品やサービスを飾る。
──でも、それで“心”が動いた例を、いくつ知ってるだろう?
たとえば、駅前のパン屋。
「バターが多い」とか「酵母が天然」とか、それっぽい理由はあるけれど、通ってる本当の理由は、「あのおばちゃんの笑顔が好きだから」だったりする。
つまり、「好きになる」が先にあるから、「通うようになって」→「売上になる」。売れることは、ファンが生まれた“あとに起きる現象”なのだということ。
ノウハウとか、ツールとか── あれこれ駆使しないと仕組み化できない、なんて思いがちだけど、答えはもっと、シンプルな話なのかもしれない。人が、人を好きになる。そこからすべては始まる。

|売上よりも、ファン数を見るべき理由
広告投資をして一時的に売上を伸ばしても、翌月ゼロに戻る。そんなビジネスモデルはもう限界だろう。でも、1人の熱量あるファンは、10人分の営業力を持っていたりする。
・SNSで勝手に紹介してくれる
・家族や友人を連れてきてくれる
・価格競争に巻き込まれない「選ばれる理由」になる
“ファン”という資産を蓄積することこそが、実はとってもサステナブルな戦略。これは、どれだけ規模が大きくても小さくても、変わらない原則なのだ。

|全部、逆だった。
売れるからファンがつく?知ってもらえたから好きになる?人気が出たから応援される?
──いや、全部、逆だった。
ファンがつくから売れる。
好きになってもらえたから広まる。
応援されてるから人気になる。
これは精神論でも理想論でもなく、マーケティングの“本質”に立ち返っただけの話。SNSだって、広告だって、PRだって──全部「ファン化」があって、初めて効いてくる。順番を間違えると、いくら予算をかけても、ただの“情報ノイズ”になってしまうだろう。
|売上戦略とファン戦略。ちがいは“恋愛”に似ている。
売上戦略って、ちょっと“モテたいだけの人”みたいだ。
・服装を整えて
・いいプロフィールを用意して
・出会いを増やして
・一度きりのデートに全力をかける
でもそれって、次につながらない関係ばかり生む。一方で、ファン戦略は“本気の恋愛”に近い。
・相手のことをちゃんと知って
・嘘をつかず、自分を見せて
・一緒に過ごす時間のなかで、信頼を積み重ねていく
だから、たとえ時間はかかっても、深い関係性が生まれる。長く応援してくれるし、まわりに紹介したくなる。広告やSNS運用においても、これはまったく同じ。「一発バズらせて売り逃げる」よりも、「共感を重ねて“推してもらう”」ほうが、結局強いに決まってるのだ。

|「ファンを生む仕組み」は、態度から始まる
じゃあ、ファンをつくるにはどうしたらいいのか?仕組みの前に必要なのは、「どんな態度で目の前の人と向き合うか」というスタンスだ。
ただ商品を見せるんじゃなく、想いを語る
サービスを届けるんじゃなく、関係を築く
目の前の反応じゃなく、“誰に届いたか”に目を向ける
この“人間味のある設計”ができて、ようやくSNSも広告も意味を持ち始める。関係性を築く土壌なしに、ツールを駆使しても、ぜんぜん響かずに終わっていく。

このホームページのリニューアルや、ブログ記事の定期更新もまさにそれだ。ただ情報を載せるんじゃなく、「自分たちはどんな目線で世界を見ているのか?」その空気ごと、感じてもらえるように設計している。
そして、そこに共感してくれた人が、“次のアクション”を自然に起こすようになる。ファンをつくるって、そういうことだと思う。

まとめ|ファン戦略は、すべての始まり
・まずは、目の前の一人に、本気で好きになってもらう
・次に、その関係性を仕組みにしていく
・そして、戦略として“伝わる”を積み上げていく
大企業でも、個人商店でも、規模も業種も関係ない。ゼロから始めるなら、この順番がいちばん強い。急がなくていい。派手じゃなくていい。
大切なのは、“好き”という感情が生まれる設計になっているかどうか。
好きになってもらえたら、人は自然と動き出す。それに勝るマーケティングは、きっと存在しない。採用がうまくいかない。売上が伸び ない。「SNSで見ました」で、終わってしまう。──そのモヤモヤは、間違っていない。
順番が、逆だっただけだ。