Listen Reading
──音が交わる、ちょっと粋な読書体験

スワイプ社会への、静かな反抗
気 づけば世の中は、指一本で流れる世界になっていた。弾いて、スワイプして、また次へ。情報は軽くて、早くて、便利だけど、ときどきそれは、“味わう”という行為を置いてきぼりにする。

そんな時代だからこそ、あえて「立ち止まるコンテンツ」をつくりたいと思った。耳を傾け、目を通し、少し深呼吸するような読書体験を。
空気ごと、届ける読書体験

動画や写真だけじゃなくて、言葉も扱う仕事をしてるもんだから、文章を書くのも読むのも、毎日のようにしてる。物書きしてる時の集中力って結構えげつなくて、バーっと書いてOK!の瞬間は、サウナでととのってる感じに近いんだよなぁ。でも『文章書いて、読んで』を繰り返していると、ふとした瞬間に思う。
この文字列の向こう側に、もう少し“空気”が欲しいなって。

たとえば深夜0時。Macの前に座って、スタジオペンをくるくる回しながら考えごとをしている。部屋は静かで、心地よいNUJABESビートがそっと流れている。言葉が浮かんでは消え、思考がゆっくりと輪郭を持ちはじめる。そんな時間に書いた文章は、できることならその空気ごと、誰かに届けたいって思う。音、温度、呼吸。目には見えないムードって大事じゃん。そういうことを読み手と、ささやかに共有できたなら、それはもうただの読書じゃなくなるんじゃないかな。
「Listen Reading」
つまり、BGMを流しながら読むっていう、ちょっと粋な読書体験。ただのコラムも、1曲添えるだけで不思議と景色が変わる。夕暮れ時の海辺になることもあるし、冬の朝のストーブの匂いになることだってある。言葉はただの記号じゃなくて、音や匂いや感触と、結びついてるってマジで思ってる。
音と言葉の、小さな共犯関係

映画のワンシーンに音楽が欠かせないように、文章にだって、本当は“BGM”があっていいと思う。そう考えると、記事の冒頭にYouTubeのリンクが埋まっているのも、悪くない。別に、音なんていらないよって人は、スルーしてくれていい。そのへんは、好きに選んでもらえたら。