#16 『まんま写真展の舞台裏』
──熱狂を生み出す仕掛けのハナシ

「何かを“はじめたい人たち”へ」
ここでそろそろ、まんま写真展の仕掛けについての話をしよう。ただの展示じゃないし、もちろん作品自慢でもない。
この写真展の裏側には、来場した人たちの“心を起こす”ための、いくつもの仕掛けがある。
それは、目に見える工夫だけじゃなくて、こっそり忍ばせた、僕らなりの“しかけごと”。
この舞台裏シリーズでは、その一つひとつを解きほぐしながら、何を考えて、なぜそうしたのかをゆっくり話していきたい。まんま写真展を“ただの展示”で終わらせないために、僕らが仕込んだ仕掛けの、深ーいハナシを。

「面白いことやろうよ」って声は、いろんなところでよく聞く。だけどその多くは、仕掛ける側の楽しさで止まってしまう。ほんとうに動かさなきゃいけないのは、自分たちだけじゃなくて、誰かの心のはずなのに。これから話していくのは、地域でなにかを仕掛けたい人や、“伝えたいのに届かない”ともがいている人、あるいは、まだ言葉にならない未来を、心のどこかで思い描いている誰かの話だ。
そんな思いを、誰かの心にそっと届けるには、お金を掛けた派手な仕掛けじゃなくて、静かに染み込む何かが必要だった。だからこそ、「まんま写真展」は“展示”というより、”小さな火種のような装置”としてつくられている。火のないところに、そっと火を置いていくような──そんなふうに、心を動かす仕組みや仕掛けの数々。

「舞台裏のハナシ」
舞台裏シリーズでは、一旦"まんま写真展"の裏側を少しずつ紹介していく。とはいえ、これはマニュアルでも成功例でもない。むしろ、もっと曖昧で、もっと感覚的な話だし、仲間の奴らだって、はじまる前は『大丈夫か?』ってくらいの半信半疑って感じ。ただ、仕掛けが終わったあとの反省会では『お前は預言者なのか?』って思うくらい、ズバンと予想や狙いが当たったりもするから不思議なもんだ。
舞台の中央に立つのは、来場者。
そこに心を起こす仕掛けとして、写真や空間演出があって、初めて僕たちとのコミュニケーションがスムーズに発生するわけ。
舞台裏シリーズ(まんま写真展)は──





ってな感じでひとつずつ、丁寧に紐解いていく。
「すこし遠回りして、ちゃんと届くように」
すぐ届く言葉は、すぐ忘れられる。でも、時間をかけて届いた言葉は、ずっと残る。
だからこの連載も、急がず、飾らず。一つひとつ、ちょっと遠回りしながらでも、ちゃんとあなたのところに届くように書いていこうと思う。
誰かの“はじまり”の、火種になるような、届く記事でありますようにという願いを込めて。

次回予告『すべての始まり』 ──まんま写真展の舞台裏 #01