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#3『問いがズレれば、未来もズレる』
——すべてに必要な“問いのデザイン”

今回は、前回の記事(なぜ今、クリエイティブが必要不可欠なのか?)の中で書いた『問い』についての深いハナシ。ビジネスの場面でも、活動の場面でも、友達の相談を聞いてる場面でも、どんな時でも役に立つハナシだと思うから、みんなにぜひとも見てほしい内容だ。



□問いが間違っていれば、答えも間違える。

ビジネスの現場でも、地域活動でも、答えを出すことばかりが求められる。それはもちろん当然のことではあるが、『KPIは? 成長率は? 今年度の成果は?』正しそうな答えを出そうと、ロジックを積み重ね、プレゼン資料を整え、現場に落とし込む。


——ちょっと待って、その「問い」ほんとに合ってる


「どうすれば売上を伸ばせるか?」を考える前に、

「なぜ顧客が離れているのか?」という問いをすっ飛ばしていないか?


「どうすれば若者がこの町に来てくれるか?」という問いに対して、

派手なイベントや補助金を打ち出しても、

「そもそもなぜこの町に魅力を感じないのか?」を問わなければ、根本はなにも変わらない。


ここで、ひとつの言葉を紹介したい。


「コンピュータは役に立たない。なぜなら、ただ答えを出すだけだからだ。」— パブロ・ピカソ

これは、創造という営みにおいて、「答え」ではなく「問い」の重要性を象徴する名言だ。

正解を出す機械はいくらでもある。だが、「何を問うべきか」は人間にしかできないということなのだ。



□間違った問いが導く、“正しいけれどズレた答え”

地方創生の現場でよくある話をピックしよう。

「どうすれば観光客が増えるか?」という問いからスタートして、映えるキャンペーンやPR動画をを作成。SNSでは話題になり、メディアも取り上げてくれる。観光客も一時的に増える。——答えとしては“正しい”かもしれない。


でもその結果、地元の住民は観光客対応に追われ、普段使っていた駐車場は使えなくなり、日常がじわじわと侵食されていく。期待していた「活気」は、いつしか住民の「疲弊」へと変わってしまうかもしれない。

人も資源も限られた中で、その疲れが積み重なり、やがては持続可能な活動とは程遠い目的地に辿り着き、活動を続けられなくなってしまう。

そして最後には誰もが口をそろえて言うようになるだろう——「これ、誰のためだったんだっけ?」



この本当の問いは別のところにあったはずだ。

「この地域にとって、本当に必要な変化とは?」

「暮らしている人の“誇り”をどう育てるか?」


問いが変われば、見える景色も、出てくる答えも、何もかもがまったく変わるということなのだ。



□「これ、何で作るんでしたっけ?」

ビジネスの現場で、「こういうの作ってください」と言われることがある。プレゼン資料、動画、ウェブサイト、チラシ、キャンペーン企画……。


全部話を聞いた上で「ん?」って違和感を感じたら僕は、必ずこう聞き返すようにしている。


「これ、何で作るんでしたっけ?」


それは単なる確認でもなければ、クライアントに向かって喧嘩を売ってるワケでもない。

問いを立て直す行為なのだ。


「上から言われたんで」

「なんとなく他社がやってるんで」

「見た目かっこよくなるんで」

(あんまり言いたくはないが、これマジで多い)


——こういった”とりあえずこれでスタンス”の理由で動き出したプロジェクトは、必ずと言っていいほど目的を見失い、途中で迷子になる。100%と言い切ってもいいだろう。

どれだけクオリティが高くても、「なぜこれを作ったのか?」が誰にも説明できない。

ゴールで待ち構えているのは「結局、使われなかった」「響かなかった」という最悪の結末。


本来であれば、最初に立てるべき問いはこうであったはず。


• このプロジェクトで誰に何を届けたいのか?

• このアウトプットは、どんな変化を起こすための手段なのか?

• そもそも、本当にこれが必要なのか?


「何を作るか」より、「なぜ作るか」を明確にすることが最も重要なのだ。


□「問い直すこと」で共創が始まる

「これ何で作るんでしたっけ?」と聞き返すと、たまに空気が止まることがある。え?みたいな。

でもそれは、プロジェクトを本気で成功させたいからこそ、問い直しているだけ。これは、反抗ではなく、共創の始まり。


「言われた通りに作る」のではなく、

「本当に意味のあるものを一緒に考える」。

そのための最初の一歩が、「問い直すこと」。



□クリエイティブとは「問いを生み出す力」である

ロジカルに答えを出すことはAIにもできる。

でも「問いを立てる」ことは、まだ人間にしかできない。


クリエイティブな思考とは、アイデアを“ひねり出す”ことではない。

それは、「問いの角度を変える力」だ。

見慣れた景色をもう一度見直し、「あれ?そもそもこれって…?」と違和感を拾うセンス。


たとえば、

• 「どう教えるか?」ではなく「子どもたちは何を感じたいか?」

• 「どう売るか?」ではなく「誰に、どんな希望を届けるか?」


問いを変えるだけで、プロジェクトの景色は一変するというワケだ。



novel box藝宴祭は県外からの来場者も(総勢250名)
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最後に:問いは、未来を変えるツールである

もしも今、何かがうまくいっていないなら、まず問い直してみよう。正しい答えは、いつだって「正しい問い」の先にしか絶対に現れない。


ビジネスでも地域活動でも必要な“本当の思考”である"問い”は、状況を劇的に変えるための最初のクリエイティブだ。「答え」を出す前に、まずは「問い」をデザインしてみること。

難しい、めんどくさいことから”とりあえず”で逃げて最悪の結果になるか、

それとも”本質的な問い”を捕まえて、圧倒的な成果を出して、担当者と『出来たね!』って喜びのハイタッチを目指すか。

僕はいつも、間違いなく後者を選んでやってきた。


LIFE PROJECT 平山了将


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