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『AmazonのCMが描く』
──“人の時間”という価値に気付く広告

機能訴求じゃない、記憶に残るメッセージをクリエイティブの力で形にする。だからまっすぐ心にズドンと届いて、ついついアクションしてしまった。まさに”やられた広告”の考察シリーズを、自分の仕事視点で紐解いていこう。

これは、ただの配達じゃない。Amazonが届けているのは、“モノ”じゃなくて、“想い”だ。このCMのメッセージは『この特別な時間が、きっと一番の特典です』なのかもしれない。


お互い忙しい毎日で、すれ違いばかりの夫婦。奥さんに頼まれた買い物をAmazonに任せてできた久しぶりの二人きりのわずかな時間。特別なことではないけれど、その時間がふたりの距離をそっと近づけた。届けているのは、モノじゃない。「誰かと過ごす時間」そのものを届けているのかもしれない。


■ なぜこのCMは、心に残るのか?

【1|「商品」ではなく「感情」を届ける構造】

多くの企業広告が「こんな商品あります!」「こんなサービスが使えます!」と、“機能”や“利便性”を前面に押し出して訴求するなか、このAmazonのCMは、「Amazonを選んだことで生まれた時間が、どんなふうに人生に作用したか」にフォーカスしている。

つまり、届けられるのは商品ではなく、“その人の時間”そのもの。便利だから使うのではなく、使ったことで“誰かとの時間”が少し素敵になった。このCMが描くのは、そんな小さな物語だ。

言い換えれば、「買ってもらう」のではなく、「思い出してもらう」ための設計。感情に寄り添い、生活の“余白”に入り込む。そこに、ブランド広告としての本質がある。


【2|“余白”と“共感”を計算し尽くした演出】

このCMに登場するのは、どこにでもいそうな夫婦。セリフは少なく、派手な演出もない。だが、そこにあるのは確かに“誰かの暮らし”。情景と仕草、音楽と間によって感情を引き出す構成は、まさにミニマル演出の極致。視聴者が自分の体験を自然と重ねられるよう、「言いすぎない」「説明しすぎない」が徹底されている。これにより、視聴後に“誰かの顔が浮かぶ”ような共感の余韻が生まれる。それは、広告を「記憶に残す」うえで何よりも重要な要素だ。


【3|ブランドパーパスとの高度な接続】

Amazonの掲げる「お客様中心主義」「日常に寄り添うテクノロジー」は、ここでは一切直接的には語られない。それでも、このCMの一連のストーリーは、確実にブランドパーパスとリンクしている。

モノの配達ではなく、「人生の余白」や「人と人とのつながりの時間」を届ける。

この“解釈の余地”を残した物語構造が、視聴者の内側でブランドの意味を自然と育てていく。


■ このCMは、マーケティングの「物語化」の教科書

  • 説明せずに伝える。

  • 商品を出さずに価値を想起させる。

  • 消費行動ではなく“記憶”にフォーカスする。

このCMのクオリティの高さは、映像美やナレーションだけではなく、視聴者の感情設計とブランド戦略が一体化した「ストーリーデザインの完成度」にある。もはやAmazonは、ただのECサイトではない。スマホでワンクリックして便利で早くて、正確で最短の配達ってイメージなんだけど、このCMは「人の生活における余白や優しさをそっと支える存在」として、ブランドの意味を再定義しているのだ。



このCMを見て『なんかいい』と思った瞬間、それまで“当たり前”だったワンクリックが、少しだけ特別に感じられた。



Neuf Production 平山了将(お仕事モード)


『東京ガスのCMが描く』
──機能ではなく、“感情”を届ける広告

『AmazonのCMが描く』
──“人の時間”という価値に気付く広告

#5『心を動かす、という企て』
── 考察する、広告の秘密

#4『心を動かし、行動を促す』
──「しかけ」と「しかた」の話

#3『人が動く映像の力』
〜見せかけじゃない伝わる映像〜

#2『伝える力の正体 』
──人が動く設計図のつくり方

#1『伝わらない理由』
── 行動経済学のアプローチ

『仕事のハナシシリーズ 開幕』
──伝える→伝わる仕組みの開発

『東京ガスのCMが描く』
──機能ではなく、“感情”を届ける広告

『AmazonのCMが描く』
──“人の時間”という価値に気付く広告

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#1『伝わらない理由』
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『東京ガスのCMが描く』
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── 考察する、広告の秘密

#4『心を動かし、行動を促す』
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#3『人が動く映像の力』
〜見せかけじゃない伝わる映像〜

#2『伝える力の正体 』
──人が動く設計図のつくり方

#1『伝わらない理由』
── 行動経済学のアプローチ

『仕事のハナシシリーズ 開幕』
──伝える→伝わる仕組みの開発

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