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#1『伝わらない理由』
── 行動経済学のアプローチ

ちゃんと伝えてるつもりだった。言葉も選んだ。資料もつくった。ときには動画も添えて、熱量も込めた。それでも、人は動かなかった。

「響かない」「伝わらない」「なんで?」

…もしかすると、原因は“想いの強さ”じゃなかったのかもしれない。「人は論理で動かない」なんてよく言うけど、真実はこうだ。

人は、“動ける構造”がなければ、動きようがない。


行動にはすべて理由がある。その裏には、「人間のクセ」を前提にした設計がある。言葉、感情、流れ、空気感──それらが“行動に向かう構造”として編まれていない限り、いくら伝えても、届かないのは当然だ。


「正しいこと」よりも、「しっくりくるもの」が人を動かす。それが、行動経済学の本質であり、トータルクリエイティブの起点なのだ。


目次

  1. 行動経済学が示す“人間のクセ”

  2. プレゼン・企画・広告で起きていること

  3. 設計するべきは「行動までの流れ」

  4. 仕掛け事例|LIFE PROJECT HARUNO の設計視点




行動の背景には「人間のクセ」がある

ちょっと本気で話していくから、お前キャラが違うぞ?なんていう声が聞こえてくるんだけど、無視して書いていく。マーケティングの世界では「行動経済学」がずっと注目されている。GAFAもこの分野のエキスパートをどんどん採用し、サービスの基礎を構築しているくらいだ。この学問が教えてくれるのは、「人間の判断って実はかなり直感的で、非合理だ」ということ。

たとえば──

人は「損をしたくない」気持ちの方が「得したい」気持ちよりも強い。
人は「選べる自由」があると、逆に何も選べなくなることがある。
人は「みんながそうしている」と聞くと、つい自分も従ってしまう。

そう、人は合理的に動くのではなく、“それっぽい構造”に動かされるのだ。


プレゼンが“伝わらない”理由も、ここにある

どれだけ良い資料をつくっても、どれだけ熱意があっても、「聞き手が自分で“行動”を選びたくなる構造」がなければ、心までは動かない。

それは、以下のようなケースでも起きている。

相手の立場に立ったつもりが、実は“自分目線”のまま。
理屈では正しくても、感情が動いていない。
情報が多すぎて、結局“何をしたらいいか”が見えない。

これはプレゼンに限らず、広告やキャンペーン、商品開発、PR戦略、すべてに通じる話だ。


設計するべきは「行動までの流れ」

大事なのは、「行動までの構造」を設計すること

最初に感じる“違和感”を設計する →「ん?」と思わせたら、そこから注目が始まる。
“自分ごと化”のポイントを設計する → 相手の経験や生活にひっかかる情報を仕込む。
行動に至る“後押し”を設計する → 「他の人もやってる」「今だけ」などの動機づけを入れる。

つまり、「伝える」だけでは不十分で、“行動したくなる構造”ごと設計する必要があるということ。



これは、トータルクリエイティブの土台

「トータルクリエイティブ」という言葉は、見た目をきれいに揃えることじゃない。“人が行動を起こす”までの設計全体のことだ。そのためには、言葉も、写真も、動画も、空気も、全部が構造の一部になる。

そして、その中心には、人間という不完全な存在への深い理解がある。


LIFE PROJECT HARUNOで仕掛けた《まんま写真展》も、ただの「展示」ではなかった。“地元の人が主役”というコンセプトを軸に、「まんまの日常」が“誰かの心を揺さぶる瞬間”になるように設計した。展示の順番、来客動線、空間の余白、キャプションの言葉遣い。すべてが“自分ごと化”への導線だった。


古民家プロジェクトだってそう。『来た人の捉え方によって価値が変わる、そんな場所にする』と、すぐに”この場所の答え”を出すのではなく、まずは“違和感”を設計し、カタチになっていく途中で“共感”“行動”を仕込んだ。古民家プロジェクトが始まると、見学者が増え、価値を作るために関わる人が生まれ、まちの未来を語り始める人たちが出てきた。


これらの仕掛けに共通しているのは、全て「人を動かす構造」があったということ。


「人は“正しさ”ではなく、“しっくりくる”に動かされる。」


その感覚を、設計できたとき、伝わる力ははじめて本物になり、人が動き出すのだ。


次回予告

Vol.02『伝える力の正体 』──人が動く設計図のつくり方

Neuf Production 平山了将(お仕事モード)

『東京ガスのCMが描く』
──機能ではなく、“感情”を届ける広告

『AmazonのCMが描く』
──“人の時間”という価値に気付く広告

#5『心を動かす、という企て』
── 考察する、広告の秘密

#4『心を動かし、行動を促す』
──「しかけ」と「しかた」の話

#3『人が動く映像の力』
〜見せかけじゃない伝わる映像〜

#2『伝える力の正体 』
──人が動く設計図のつくり方

#1『伝わらない理由』
── 行動経済学のアプローチ

『仕事のハナシシリーズ 開幕』
──伝える→伝わる仕組みの開発

『東京ガスのCMが描く』
──機能ではなく、“感情”を届ける広告

『AmazonのCMが描く』
──“人の時間”という価値に気付く広告

#5『心を動かす、という企て』
── 考察する、広告の秘密

#4『心を動かし、行動を促す』
──「しかけ」と「しかた」の話

#3『人が動く映像の力』
〜見せかけじゃない伝わる映像〜

#2『伝える力の正体 』
──人が動く設計図のつくり方

#1『伝わらない理由』
── 行動経済学のアプローチ

『仕事のハナシシリーズ 開幕』
──伝える→伝わる仕組みの開発

『東京ガスのCMが描く』
──機能ではなく、“感情”を届ける広告

『AmazonのCMが描く』
──“人の時間”という価値に気付く広告

#5『心を動かす、という企て』
── 考察する、広告の秘密

#4『心を動かし、行動を促す』
──「しかけ」と「しかた」の話

#3『人が動く映像の力』
〜見せかけじゃない伝わる映像〜

#2『伝える力の正体 』
──人が動く設計図のつくり方

#1『伝わらない理由』
── 行動経済学のアプローチ

『仕事のハナシシリーズ 開幕』
──伝える→伝わる仕組みの開発

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