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『来場者の疑問が、対話の火種になる』
──まんま写真展の舞台裏 #03

まんま写真展では、写真に説明を書かない。「これはどこで撮った写真なのか?」という注釈をあえて付けていないのだ。理由はすごくシンプルで、コミュニケーションが始まるからだ。


「ここはどこ?」「これは誰なの?」「いつ撮ったの?」


見た人がそう思うからこそ、こっちに声をかけてくるようになる。聞きたくなる。それが、コミュニケーションのスタートラインになるのだ。


主催一方通行の矢印

イベントや展示でよくある悩みがある。それは、主催側の「一方通行」になってしまうこと。主催側は伝えたいことを用意しても、来場者からの反応や質問がほとんどない。これは双方向の矢印が描けていない状態だ。「伝える」だけでは全然足りない。だから”伝わる仕組みを開発”する必要がある。伝えることに加えて、「返ってくる何か」を仕掛け、双方向の矢印をデザインし、コミュニケーションが生まれなければいけない。


そこで、まんま写真展はあえて「わざとストレスをかける」やり方を選んだ。写真の説明や、文章にしたら多くなってしまう情報を、一切付け加えなかったのだ。


「説明がない」ことは、一見、不親切で優しくないのかもしれない。でも本当の優しさはもっともっと奥にあって、コミュニケーションにつながる仕掛けなのであれば誰もが納得するはずだ。


『説明をなくすから、話しかけるきっかけ」が生まれる。

茶畑を上空から見ることもないから写真を見て興奮し、どこだろう?どうやって撮ったんだ?っていうモヤモヤを解決しようとして、人は自然と歩み寄り、会話が生まれる。


こうやって少しずつ、「一人の来場者」と「仕掛ける側」の間にリアルなコミュニケーションが育っていく。それは、画面の向こう側の画一的な反応や、SNSの“いいね”とは訳が違う。その場でしか生まれ得ない対話の価値だ。

僕らが目指しているのは、ただ写真を見てもらうことじゃない。「この場所のことを、一緒に考える時間をつくること」「僕たちと来場者のコミュニケーションを自然に起こすこと」

だから、あえて“説明のない空白”を残しているし、「次はいつやるの?」という期待の声につながっていくのだ。



次回予告『来場者が“のぞく”高さの話』 ──まんま写真展の舞台裏 #04


LIFE PROJECT 平山了将





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