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『答えは今じゃない、もっと先にある』
── まんま写真展の舞台裏 #02

初めての「まんま写真展」のあと、こんな声を聞いた。「写真が思ったより少ないですね」って。


そりゃそうだろう。こっちは過剰な盛り盛りだらけのSNSを土俵にして戦っちゃいない。


“ありのまま”を現場で出してるんだから。


いい表情だけを切り取ってるわけでもない。ただ、春野町にある日常を、そのまんま出しただけ。『写真少ないですね』というこの意見はむしろ超的確な意見で、「少ない」って言ってくれてありがとう、という気分だった。


第一回目のまんま写真展、何もない“ありのまま”の、少ないけど大きな大きな写真たちだっただろう。写真点数の多さよりもインパクトが最も重要だから、一枚一枚の写真の大きさを明らかにデカくした。予想していた写真展とはまったく違う別世界に連れていくようなイメージ。だけど、これは一回目だからだ。これから先はワケが違う。写真展以外のプロジェクトが立ち上がり、たくさんの仲間が現れ、それらの映像や写真がまんま写真展に展開されていくのだ。


僕たちがさまざまな仕掛けを起こすたびに、写真も、映像も、仲間も、必然的に増えていく。来場者の言葉や表情も、まんま写真展の歴史としての風景の一部になっていく。そうやって、まんま写真展そのものが進化していく。展示が完成するのは、僕らの手を離れて、仲間のみんなが仕掛け側に回ったときなのだ。


モノクロの写真

展示の写真がモノクロなのも、べつに“おしゃれだから”じゃない。色がないことで、そこに映る風景や表情が時代にとらわれなくなるからだ。今日撮ったはずの1枚が、10年前かもしれないし、10年後にも見えるかもしれない。そういう時間軸を飛び越えるような普遍性を持たせたかった。色褪せない思い出として。


それに、“まんま”は、最初からカラフルじゃない。彩りは、僕たちの歴史と共に、あとから足されていくものだろう。まだ仲間も少なくて、やれることも限られてた頃。そのとき撮ったのが、あのモノクロの写真たち。何もなかった。だからこそ、すべてが見えていた。今も、まんま写真展は少しずつ進化している。関わる人が増え、広がる場所ができて、展示の設えや空間も、色づきはじめた。


もしも、もっと大きな仕掛けができるようになったら――僕らの写真は、カラーになっていくかもしれない。


写真点数のことも、モノクロの話も、

答え合わせは今じゃない、もっと未来に置いてある。




次回予告『来場者の疑問が、対話の火種になる』──まんま写真展の舞台裏 #03


LIFE PROJECT 平山了将

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── まんま写真展の舞台裏 #05

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『来場者の疑問が、対話の火種になる』
──まんま写真展の舞台裏 #03

『答えは今じゃない、もっと先にある』
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まんま写真展の舞台裏
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