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​正久 幸裕

​一旦地元を離れて、僕はまた春野に戻ってきた。

高校を卒業して、東京の大学へ進学した。

大学3年になり、春野町に戻ってきた時、自分の育ってきた田舎町の人の優しさ、豊かな自然に触れ、この田舎町の素晴らしさを再認識した。

それと同時に未来の春野町について真剣に考えるようになり、各種産業の衰退、文化の継承・発展に関する課題と向き合い、自分がこの田舎町にできることはないのか?を模索し始めた。

 

大学卒業後、春野町に帰省し、田舎町の地域活性化の取り組みとして

『地域の人たちのコミュニティーを産むための物産展(いっ久)』を開業。

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​春野町文化センターの隣『いっ久』

スタートは苦難の連続。それでも地元をなんとかしたい。
そんな​アツい気持ちが人を突き動かす。

僕がユキヒロくんと出会ったのは、いっ久を開業する2ヶ月前のこと。

『物産展を開業して、農家さんの販売に関する業務を自分が請け負いながら、地域の人たちと産業を繋ぐきっかけを作りたいと思ってるんです』

 

僕がこの春野町に帰ってきてから『このままでは春野町が廃れていく一方だ』と嘆いてる人は何人も見たことはあったが、

『課題を解決していきたい、これから先の未来に向けて自分ができることを全力でやっていこう』という熱意とアクションがユキヒロくんにはあったのだ。

 

僕はこの子を応援したい。そして、一緒に町起こしを叶えたいと、心からそう思った。

ただ、現実はそう甘くなかった。いっ久を始めたばかりの頃は『一体何をするんだ?』と理解されずに苦しむこともあった。

お客さんが1日3人しか来なかった日、農家さんから『君には卸さない』と断られた日。

それでもユキヒロくんはお店に立ち続け、いっ久の運営を一切止めなかった。

『なかなかうまくいかないけど、どうしたらいいか?』を考え、

数少ない協力者からのアドバイスをいただきながら、少しずつ少しずつ未来に向けての自分の行動を模索していった。

 

苦しくても、うまくいかなくても、なんとか今より良くしたいと頑張っている若者の姿を見ているうちに、

ユキヒロくんの周りに助けてくれる仲間がどんどん現れ始めたのだ。

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​田舎町の町起こしについて

正久 幸裕くん​(以下 幸)

りょうすけさんと出会ったのは、ゆずカフェさんを通じて繫がりましたよね。

『いっ久をやる』って開店前の準備で、うちの倉庫に集まって色々会議やったこと、今でも鮮明に覚えてますもん。

 

あの時からいつかりょうすけさんと一緒に仕事をしたい!!!ってずっと思ってたんですけど、

いっ久が開店、りょうすけさんは独立することになって、もうお互いバタバタで町起こしのお話とかも全くできなくなってましたよね。

​自分(以下 了)

俺が独立して、まず最初にやったことが

『町起こしは春野町の人たちだけで解決できる問題じゃない、浜松の人たちにもこの田舎町の町起こしを応援してもらわないと!』だった。

 

ひっきりなしに浜松の経営者さんだったり、たくさんの人たちと出会いに行って、仕事して寝るためだけに帰るみたいな生活をしてたからなー。笑

『​春野町の町起こしをしたい!』っていう部分では、俺もユキヒロくんと同じくらいの熱い想いがあるから、

​これから一緒にやろうぜってのはめちゃくちゃ楽しみではあるよ。

​(幸)

いっ久がスタートして、りょうすけさんが独立してってくらいのタイミングが、実は一番苦しかったんです。

1日にお客さんが3人しか来ないなんて時もあったりして、売り上げは落ち込む一方。

マジで苦しかった時期だったんですけど、あの苦しみを経験したからこそ、今に活きてるんだなって思ってます。

 

その苦しさを乗り越えたタイミングで、ちょうどりょうすけさんから連絡が来たみたいな感じでタイミングもナイスでした。

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(了)

​えらそうなことを言うつもりはないんだけど、苦しい時期って絶対にあるじゃん。何やってもうまくいかないって。

でもどうやったらその逆境を乗り越えられるか?を自分の頭で考えて、自分の力でなんとかして欲しいとは思ってたんだよね。

助け舟はいつでも出せたんだけど、ここはユキヒロくんが自分自身と戦わなきゃだめだって。

でも、それを乗り越えた今だからからこそ『町起こしって何が大事なんだろう?』っていうことが見えてきてるんじゃないかな?

”こうしたらうまくいく”はこれから活動していく中で見つけなきゃいけないことだけど、

”​こうしたらやっぱりうまくいかない”ってことは身に染みてわかってきたと思う。

難しい顔して会議をして、腕組みして、んーって考えたりして。そんなので解決する話じゃないわけでさ。

まずは『なんかあいつらの活動って楽しそうだな。あいつらと一緒にやってみたいなぁ』っていうさ。そこが大事じゃん。

みんなでやるってどういうことなんだろう?ってたっくさん考えたはずだよ。

​(幸)

まさにその通りでした。

うまくいかなくて気持ちが折れそうな時もあったんですけど、

それでも春野町のことをもっと良くしていきたいっていう気持ちは変わらなかったし、

実際に『町起こしに繋げていくために、今自分ができることってなんなんだろう』ってすごく考えることもできたりしました。

行政主体のやり方を悪くいうつもりは全くないですけど、協力したから『はい、お金。』とかっていう利害の話が前に来るんじゃなくて、

休日に仲間同士で気軽に集まったり、一緒にテントサウナしたりとか、そういった形っていうんですかね。

もっとカジュアルな繋がり方から、自然に集まってチームが生まれたほうが絶対にいいんだなって。

実績ベースの利害から生まれる仲間ではなくて、挑戦ベースの応援から生まれる仲間を集める。

そこから作らない限り、『協創の町起こし』には絶対にならない。

りょうすけさんの言ってた『競争じゃなくて”協創”』って意味がやっと分かった気がします。

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(了)

『みんなでやろうよ』って言葉だけ見ると、すごく綺麗事に見えてしまったりするんだけど、

実はそうじゃないんだよね。極端に言えば、残された道はそれしかないよってこと。

それぞれの産業で、誰かがたくさんがんばろうと思っても、もう限界が見えてるでしょ。

だったら『春野町っていう田舎町全体で、町そのものをみんなで盛り上げていこうよ』って。

よくある話でさ、このプロジェクトのリーダーは誰だとかあるんだけど、

そこじゃないんだよ。そんなことはどうだっていい。

『田舎町の活性化の取り組み』であれば、それは個人だろうが会社だろうが、全部町起こしなんじゃないの?

町起こしの答えって一つじゃないんだから、全部正解でいいじゃん。

それぞれの強みを活かして、皆が町起こしの活動をどんどんやることで報われる場所を作らないといけない。

 

だからこうやって春野町のWEBサイトを作って、頑張ってる人たちのことを記事にしたり、

動画撮ったり、写真撮ったり、いろいろデザインしたりしてるんだよ。

町起こしの仲間として関わる人がどんどん増えていくことで、WEBサイトも育っていく。

『春野町』でググったら、このサイトが一番にヒットするように持って行くつもりだよ。

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​(幸)

そこなんです。りょうすけさんは出会ってから一貫して言ってることがまったくブレていなくて、

町起こし?何するの?っていう具体的なことを進めていくために動画作ったり、春野町のWEBサイトをコツコツ作ってたり、

浜松の経営者さんを巻き込んで春野の町起こしメンバーを集めることに至るまでの全てのことをずーっと一人で準備をしてる。

 

ビジョンがめちゃくちゃ明確で、アクションが伴っててワクワクする。

だから『一緒にやりたい』って心から思えるんですよ。

あとは”これやる”って目標をガチガチに決めすぎずに、関わる人はみんな仲間ってスタンスでやってるじゃないですか?

だからみんなからどんどん意見が出てきて、一気に最高じゃん!やろう!ってチームに熱が生まれる。

『みんな頑張ってる、みんな正解だよ、みんな最高だぜ。だから一緒にやろう』

そんな空気を田舎町に作るためにLIFE PROJECTが存在してる感じがします。

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(了)

ものすごく深く考えて、実行に移していくことが大事。それが一番難しいんだけど。笑

 

目の前の人たちに自分勝手な思いの丈と、賢い戦略の資料を見せて、ちゃんと伝えたつもりでいたって、

『夢物語語ってんじゃないよ。そんなの無理に決まってるじゃん』って言われるのは目に見えてる。

だったら『無理に決まってる』って諦めてる人たちに説明することに時間を使うんじゃなくて、

自分たちと同じ志を持った仲間たちと一緒にできることからコツコツやっていけばいいじゃん

焦ってやる必要だってない。お金をかけてスピード勝負で戦う土俵に俺たちは一切参加しない。

だってそれは『俺たちが描いてる町起こしのカタチじゃない』から。

お金よりも時間を掛けて、町起こしに、そして人に、全力を注いでいく。

 

だからこそじっくり仲間を作って、強固な地盤を作ることから始めていくことが大事。だから時間はかかっていいの。

応援してくれる人たちをめちゃくちゃ大事にして、参加してくれる人に喜んでもらうにはどうしたらいいか?

 

『”1000人呼べる集客力”よりも、”10人中8人が熱狂してファンにさせる力”』の方が欲しい。

 

俺たちの町起こしに熱狂してくれる人たちを、そして、感動を生み出さなきゃいけない。

 

今はまずここだけを考えて、ちゃんとやっていけばいいと思うんだよね。

[後編]
​『まんま写真展×いっ久』で何が生まれる?

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