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​渡辺 幸弘

こぶちゃん食堂 ロゴ黒.png

​人懐っこいキャラクターで愛される人柄、
地域に根付いた食堂を。

​3月下旬、いっ久でユキヒロくんと『町起こし』のことをブイブイ語っていたら、『今からニット帽を買いに浜松に行ってくるぞー』とニコニコした表情でこっちに向かって歩いてくるおじさんがいた。ここ最近暖かくなってきたからという理由で思い切って髪の毛を切ったみたいだが、たまたまこの日は極寒だった。

春野町の気田商店街で『こぶちゃん食堂』を営んでいる”こぶちゃん”。​この人の周りはいつも笑いが絶えない。口癖は『やめてよードキドキしちゃう。』だ。

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やめてよードキドキしちゃう!からのピース

滲み出る優しく、人懐っこい人柄からか、こぶちゃん食堂の店内はいつもとっても賑やかだ。

『お客さんからの無茶な要望があったとしても、できる限り叶えたい』と、お客さんからのお願いがあればほぼ『はいよー』と叶えてしまう。

そんな町内のみんなから愛されるこぶちゃんに『どうして春野町で食堂を開いたのか?』を聞いた。​

料理人としての下積みを色々経験していく中で、ある時ふと考えたという。

『このまま雇われの身で人生終わっちゃってもきっと後悔するなーって。地域にちゃんと根付いていながら、気軽に立ち寄ってもらえるような食堂ができたらいいなって思ったんだよね』

​圧倒的な低価格で料理を提供し続けることでお客さんにまで『大丈夫?』と心配されるこぶちゃんなのだが、

実は町起こしに関する話になると、今まで見たことがないような真剣な表情になる。春野町に対してとっても熱い想いがあるのだ。

僕達の”町起こし”に関して思うこと。

​自分(以下 了)

僕たちがこれから進めていく『春野町の町起こし』について『みんなでやろうっていう”協創”』の話だとかって、こぶちゃんはどう思ってますか?

​こぶちゃん(以下 こ)

​そもそも自分の故郷が嫌いなんて人はいないと思うから、きっとみんな『春野町を何とかしたい』とは思ってはいるんだよね。

このままじゃ春野町がどんどん廃れていってしまうこともわかってるんだろうけど、

じゃあ自分が矢面に立って『町起こしする!』なんてことも言えなかったりする。それぞれが自分の仕事もあるだろうしね。

春野​町民の人たちは本当に春野町を愛してる人たちが多いから、もしかしたら『自分たちで町起こしができるかもしれない!』っていう空気さえつくってしまえば賛同してくれる人たちは多いと思うね。​少なくとも僕は応援するもん。

​(了)

そうですよね。『何とかしたい』って気持ちはあるけど、大きく踏み出すことができないっていうか。

こうしたらどうかな?って思うことはたくさんあるはずだけど、『やる』となると訳が違いますもんね。

でもその『やる』っていう部分に関しては、僕達の方で必死こいてやるから『この町起こしの活動に参加して欲しい』っていう文化祭みたいなノリっていうんですかね?

そういう形だったらやりやすいんじゃないかな?とは思ってるんです。

お金の部分での協力とかではなく、楽しい町起こしを一緒に創りたいから参加しに来て!っていうくらいで。

町内の人たちに対してはまず、そういう”空気作り”からやっていくことが大事だって方向で進めてるのがまさに”今”って感じなんですけど。

ところで、こぶちゃん食堂にやってくる町外のお客さんの声としてはどんなことがありますか?

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​町起こしの話になるとついつい熱がこもってしまう二人

​(こ)

町外から来てくれるうちのお客さんたちがいつも言ってるのは、『春野町って飲食店やカフェはあるけど、ギャラリーみたいなものがないよね』って。​

​せっかくいいところがたくさんあるのに、カフェや食堂でご飯を食べてはい、終わりじゃものすごく勿体無い。

春野町のことをもっと知れるギャラリーやコミュニティスペースとかがあったら絶対に行くのになぁって。

だからりょうちゃんがユキヒロくんと一緒に『春野町の写真展をやるんだ』って聞いた時は素晴らしい取り組みだなぁって思ってさ。

若い子たちが率先して、しかも自分達でやるっていうからには、やっぱり応援したいって思ったよ。

​(了)

春野町っていいところもあるし、頑張ってる人もたくさんいるのに、それを発信する場所がないってめちゃくちゃよくわかります。

未来の春野町のことを考えて活発に活動してる人たちってたくさんいるのに、そういう人たちが繋がっていくためのきっかけすら”ない”んですよ。

だから同じ想いを持つ仲間が集まる待ち合わせ場所として、僕たちが何をどう創れるのか?そこが重要なポイントなのかなって思ってます。

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春野町は1日過ごして好きになってもらいたい。
​ちょっときて遊んで終わりじゃ、本当の良さはわからない。

​(了)

僕たちの仲間内で毎回議論に出ることがあるんですけど、やっぱり春野町の朝、昼、晩、って1日通しての全てを感じてもらいたいよねって。

でも1日を体感してもらうための環境って、現時点では”キャンプ場”くらいしかなかったりする。

​(こ)

春野町は1日過ごしてみて、やっと本当の良さがわかるっていうのはすごく理解できるし、初めてりょーちゃんと話した時に全く同じ考えだ!って嬉しかったよ。

ここで大事なのは、新しい何かをやって自分達​だけが利益をもらうっていうことじゃなくて、その利益を町全体の潤いとして作らないといけないってことだよね。

ただ『民泊施設を作りました』だけじゃだめなんだよ、そこがすごく難しい。

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​(了)

現在の話をすると古民家の家主さんの選択肢って、『更地にして土地を売る』『現状維持で放置』しかなかったりすると思うんですが、

もしも町内の若者が集まって古民家の有効活用事例が作れたら、新たな選択肢として『あいつらに相談してみようかな』が生まれる可能性があるわけじゃないですか?

そういったゼロじゃない可能性は常に狙ってるので、浜松の町起こし懇親会メンバーの不動産屋さんを絡めて、何かあれば連絡をいただけるような仕組みを作ってる最中なんですけど。

​(こ)

それはかなりアリだよね。だから不動産会社の白野さん(浜松の町起こしメンバー)が春野に来てたんだねー。

古民家の可能性を活かして、いろんな使い方をしてみてもいいと思うんだよ。さっきの話だったら春野町のことを知ることができるようなギャラリーの古民家があってもいいし、

古民家の民泊だってもちろんいい。ただ問題はその後であって、ギャラリーにするんだったらついでに商店街のお店に回ってもらうように、

民泊だったら素泊まり限定にして、食事は商店街のお店で食べてもらうようにしてみたりさ。

LIFE PROJECTが仕掛けた古民家が起点になって町全体を潤わせていく感じっていうか。そしたら町民のみんなにも感謝してもえらえるよね。すごくいい。

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​(了)

全くその通りです。『春野町×僕らのプロジェクト』をどう展開していくか?ってすごく重要な部分ですよね。

古民家活用の成功事例を僕たちで本気で作りにいくのであれば、『やり方は一つじゃない』っていう仕掛ける側の僕らのスタンスも大事だと思ってて。

『民泊施設を作る』って一つのやり方に絞りすぎるのではなく、『人×田舎町であることによって生まれるコミュニケーション』をベースにみんなで議論するっていう。

例えるなら『集う・繋がる・知る・買う・泊まる』っていうコミュニケーションのキーワードを軸に、古民家をどう使うことが最適解だろう?って考えるとか。

春野町の中でも各地域ごとにそれぞれのいいところがあるわけですから、それぞれ地域の強みを活かした古民家の活用方法を生み出すことが何よりも大事だと思うんです。

でも結構前の話なんですけど、実際にこの古民家を貸してくれ!って交渉するところまで行ったんですよ、結局ダメだったんですけど。笑

​(こ)

そもそもこの田舎町で誰もやったことがないことに挑戦するんだから、『この若者たちにお願いしても何するかわかんない』って不安があるんだと思うよ。

でも逆にさ、だからこそ、ちゃんとした町全体の利益につながる”古民家活用の成功事例が作れたとき”に一気にドカンっと話題になる気もする。

ただそういうことってやる側はめちゃくちゃワクワクするじゃん。楽しいよね。

できるかも!できなかったか。いやこういうやり方あるかも!って。町起こしに関わるチームみんなで一喜一憂しながら少しづつ前に進んでいくっていうか。

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​(了)

この田舎町に暮らしながら、町起こしをしたい僕たちにとっては古民家だって町の景観の一部です。

僕たちからしたら、『田舎町の古民家は”新たな価値”を生み出すための”価値ある資源”』にしか見えないわけです。

春野町内で僕たちがプロデュースした古民家にはLIFE PROJECTの提灯があって、そこでは当たり前のように『集う・繋がる・知る・買う・泊まる』といったアクションが生まれるっていう。そうなることが理想で、最高なんですけどね。

自分達の町起こしのアクションは、あくまで『自分達の利益』ではなく『町全体の潤い』に変換するためのアクションなんだっていうことを

ちゃんと地域住民の人たちに理解してもらって、お互いが気持ち良く、楽しく、ワクワクして、僕たちの町起こしを応援してもらえたらなーって。

だから僕たちの町起こし活動を正しく知ってもらうことができて、且つ、同じような理念の仲間が集まってくる待ち合わせ場所をまずはちゃんと作らなきゃいけない。

それがこれからスタートする『まんま写真展』なんですよね。

[後編]
​『まんま写真展×地域商店街の可能性』

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